『銅』

銅(どう、羅:Cuprum、英:Copper)は、原子番号 29 の金属、元素記号は Cu。

周期表では金、銀と同じく 11 族に属する。元素記号の Cu は、ラテン語の cuprum から。この語はさらに Cyprium aes(キュプロス島の真鍮)に由来し、キプロスフェニキアの銅採掘場があったことによる。日本語では、その色から赤銅(しゃくどう、せきどう)または、赤金、銅(あかがね)と呼ばれた。

金属では銀の次に導電性が高く、価格も比較的安い事から電線・ケーブルの材料としてよく使われる。また銅イオンは殺菌作用を持つ事から、抗菌仕様の靴下や靴の中敷などによく使われている。

殺菌作用と導電性を生かした物として絨毯、マットなどに使用されている。特に細い導線を容易に作成できる為、絨毯に織り込んで使用する。これにより、静電気の発生しにくい絨毯としてホテルなどのロビーで使用されている。

また、オリンピックはじめ様々な大会やコンクールなどは金、銀に次ぐ3位の色としても知られている。

2006年、中国の北京オリンピックに向けたインフラ整備に伴う需要増により、国際的な価格高騰を起こした。


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歴史
銅は先史時代から使われてきた金属である。銅と錫の鉱石は混在することから、メソポタミアでは紀元前3500年頃から銅に錫が混ざった青銅で道具を作るようになった。青銅器はエジプト、中国(殷王朝)などでも使われるようになり、世界各地で青銅器文明が花ひらいた。

耐食性の高さなどから 古来貨幣の材料としても利用されてきた(銅貨)。日本の硬貨では5円玉が黄銅製、10円玉が青銅製、50円玉、100円玉(昔は銀がはいっていたが、現在は入っていない)、旧500円玉が白銅、新500円玉がニッケル黄銅という銅の合金である。

西洋占星術など神秘主義哲学では、金星を象徴する金属とされた。これは、銅の産地として知られていたキプロスが、金星の守護神とされるアプロディテの聖地でもあったことに由来する。


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産地
詳細は銅山を参照

銅鉱石の生産は世界全体で1510万トン(2005年現在)である。その内訳はチリが35.2%と大半を占め、以下米国7.5%、インドネシア7.1%、ペルー6.7%、オーストラリア6.1%、中国5.0%、ロシア4.6%と続く。かつて日本は足尾銅山別子銅山、日立銅山等の大鉱山をかかえ輸出国であったが現在はこれらは全て廃鉱となり100%輸入に頼っている状態である。


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銅鉱石
銅鉱石を構成する鉱石鉱物には、次のようなものがある。

自然銅 - Cu
輝銅鉱 - Cu2S
斑銅鉱 - Cu5FeS4
銅藍(コベリン) - CuS
黄銅鉱 - CuFeS2
硫砒銅鉱 - Cu3AsS4
安四面銅鉱 - (Cu,Fe,Zn)12Sb4S13
赤銅鉱 - Cu2O
黒銅鉱 - CuO
藍銅鉱 - Cu3(CO3)2(OH)2
孔雀石 - Cu2(CO3)(OH)2

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製錬
銅鉱山で得られた黄銅鉱(主成分CuFeS2)にコークスのほか融剤として石灰石とケイ砂を加えて溶錬炉で溶融し、鉄分を除く。銅分は銅マットや銅?(どうかわ。銅精製への中間製品。硫化銅と硫化鉄の化合物から成る)の形で濃縮される。同時に生じる鉄分はケイ砂によって取り除かれる。また、ケイ砂と石灰石からケイ酸カルシウムが生成し、これが融剤として銅の融点を下げる。


そして、銅マットを転炉に入れて、空気を吹き込んで不純物(硫黄、鉄など)を酸化除去し、粗銅(銅含有率は約98%)を精錬する。このとき2000℃を越える高温になり、還元される。


いかなる金属元素も高温にすれば還元されるのは、酸素、硫黄は気体となり粒子数が増大する方向に平衡が移動するからである。 その後、粗銅は電解精錬によって、99.99%以上の純銅に精製される。電解精錬によって得られた銅は電気銅とも呼ばれる。


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用途
前述のとおり、銅は古代から人類とのかかわりが大きく、現代でも鉄に次ぐ最も重要な金属材料といえる。現在、銅の用途の大部分は工業をはじめあらゆる分野においての電気器具の配線、部品、回路などにある。これは銅が他の金属とくらべ高い電気伝導性を持つことと、銅以上の電気伝導性を持つ物質(銀など)と比べた際にコストが格段に安いことから使われている。また、他の金属の電気伝導性をはかる国際基準としても使われる。銅は、銅線や銅版などの形で身近に見ることができる数少ない単体金属である。帆船の船底銅包板としてフナクイムシから船体をまもる為に使われた時期もある。

合金の用途も広い。貨幣に使われる白銅はニッケルとの合金であり、アルミとの合金のアルミ銅は延性に富んだ黄金色であるため金箔の代わりとして使われるなどしている。銅と亜鉛を合金させたものを一般に黄銅とよび、亜鉛の含有率を変化させることで、連続的に色彩が変化し融点が低下する。金管楽器や仏具などに使われる真鍮は黄銅の一つである。真鍮は錆びにくく、色が黄金色で美しいことから模造金や装飾具などとしてもよく見かける金属である。古代から武器や通貨などとして用いられた青銅はスズと銅の合金であり、現在でもブロンズ像など、彫刻の材料である。しかし、最近では「青銅」という呼び名は変化してきており、一定以上のスズを含んでいるその他の銅合金や青銅と似たような色や結晶構造をもつような鋳造用合金の総称としても用いられる。

青銅や黄銅と呼ばれる銅合金で代表的なものには、光輝黄銅・工業用青銅・赤色黄銅・ジュエリー青銅・低濃度黄銅・カートリッジ黄銅・黄色黄銅・ムンツメタル・鉛黄銅・リン青銅・シリコン青銅・アルミニウム青銅・洋銀(洋白)・キュブロニッケルなどがあり、その性質は様々で利用分野においても簡単に分別できないほど多岐にわたっている。 また、主な工業用の合金として、高純度銅合金や純銅と呼ばれる極めて高い純度の銅にごくわずかな添加物を加えた合金がある。代表的な高純度銅合金にはカドミウム銅・クロム銅・テリウム銅・ベリリウム銅などがあり、工業的に用いられる純銅は電解タフピッチ銅・脱酸銅・無酸素銅・銀含有銅・ヒ素銅・快削銅などで、機械工業をはじめとした分野で利用される。

銅は化合物または触媒としても用途が広く、代表的な銅の化合物としてはアセトヒ素銅・塩化銅・酢酸銅・酸化銅・シアン化銅・水酸化銅(II)・水素銅ヨウ化銅・硫酸銅 などがあり、各種触媒や、防腐剤、殺虫剤、顔料などに用いられている。

銅は花火の着色料としても用いられる。これは銅の化合物が炎色反応を示すことを利用したもので、青色を着けるのに用いられる。炎色反応は青緑色である。因みに、銅は遷移元素では唯一、炎色反応を示す。


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主な銅の化合物
硫化銅 (CuS)
塩化銅(I) (CuCl)
塩化銅(II) (CuCl2)
酸化銅(I) (Cu2O)
酸化銅(II) (CuO)
硫酸銅 (CuSO4)

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銅の反応
銅はイオン化傾向が小さいため塩酸や希硫酸といった酸とは反応しないが、硝酸や熱濃硫酸のような酸化力の強い酸とは反応する。

希硝酸との反応
3Cu + 8HNO3 → 3Cu(NO3)2 + 4H2O + 2NO↑
濃硝酸との反応
Cu + 4HNO3 → Cu(NO3)2 + 2H2O + 2NO2↑
濃硫酸との反応
Cu + 2H2SO4 → CuSO4 + 2H2O + SO2

生体内での働きと毒性 [編集]
植物における銅の役割としては、生体内における数種類の酸化還元反応にかかわる酵素を活性化する働きや、光合成に必要なクロロフィルに銅が結合しており、クロロフィルの合成に銅が不可欠であるということが分かっている。しかし、クロロフィルの合成段階において銅がどのような役割を担っているのかなど詳しいことについてはまだわかっていない。

植物において銅が不足すると、黄白化、光合成能力の低下、種子の形成異常あるいは枯死などが起こる。しかし、銅が過剰に存在する場合にも同様に毒性を示すため注意が必要である。下等植物の生育や増殖に少量の銅が不可欠であることが知られている。

動物においても、前項にもあるが、銅は必須微量元素の一つであり、ヒト一人当たり100から150 mgの銅が含まれ主に骨や肝臓に存在する。銅の役割としては、ヘモグロビンを合成するために不可欠である元素であることが知られている。しかし、ヘモグロビンそのものには銅は存在しない。一方、節足動物や軟体動物において、ほ乳類のヘモグロビンに相当する酸素結合タンパク質であるヘモシアニンの活性中心は銅である。さらには、スーパーオキシドアニオンを消去するスーパーオキシドディスムターゼ、ミトコンドリアにおける呼吸鎖関連酵素のシトクロムcオキシダーゼ、コラーゲン合成に必須なモノアミンオキシダーゼやリジルオキシダーゼの活性中心である。

銅が不足することでは、鉄の吸収量が低下し貧血となることや骨異常などが起こりうる。鉄吸収量減少の少なくとも一部は、トランスポーターが鉄を細胞に取り込む際に、銅による還元が必須であることに起因する。しかし、銅は要求量がそれほど多くなく、食品中に豊富に存在するためそのようなことはまれである。ただし、特に反芻動物は銅に対して敏感な性質を持つため、家畜などにおいては銅の不足により神経障害や貧血、下痢などが発生することがある。これは飼料に銅を含んだミネラル分を添加することで改善される。また、亜鉛の過剰摂取は小腸細胞において金属結合性タンパク質であるメタロチオネインが誘導され、銅がこのタンパク質にトラップされる結果、銅の摂取が阻害される。

このように、銅は生物の代謝が正常に行われるうえで必須の元素であるが、同時に過剰供給されると、足尾銅山鉱毒事件に見られるように毒性を示す。例えば多くの動物にとって慢性的に過剰な銅の摂取は毒性であり、反芻動物では銅の過多により肝硬変や発育不全、黄疸、などが起こりうる。また無脊椎動物の多くは過剰供給となって代謝異常を起こす閾値脊椎動物よりも低い。例えば水槽内で海産魚を飼育するときに魚病薬として硫酸銅の水溶液を少量飼育水に添加することがあるが、この処置をいったん行った水槽は、飼育水中に微量の銅イオンが溶け出すため、もはや海産無脊椎動物の飼育には不適当といわれている。植物にとっても銅イオンの過剰供給が毒性を示すことは同様であり、そのような環境下では銅イオン耐性の強い特殊な植物が繁茂する。例えば、寺社の銅屋根を伝った水が滴るような場所には銅イオン耐性の強いホンモンジゴケが優占することがよく知られている。


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一日の所要量
成人男性 1.8mg
成人女性 1.6mg
許容上限摂取量 9mg
欠乏、過剰症はまれ。貧血・骨異常・脳障害等が欠乏症として知られている、過剰症は遺伝病であるウィルソン病等極少数。


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枯渇問題
銅は2040年頃に枯渇すると予測されている[1]。ただしこれは、採掘コストに見合った採掘が可能な銅鉱山が枯渇するという意味であり、地球の銅埋蔵量はまだ十分にあると考えられている。したがって採掘技術の進歩や、採掘が容易な銅鉱山の発見によってこの問題は回避される可能性もある。