■ガンダム■ザクII MS-06






どれすsilver925

アニメ『機動戦士ガンダム』をはじめとするガンダムシリーズのうち、宇宙世紀を舞台とする作品に登場する、架空の兵器。
ジオン公国軍の量産型モビルスーツ(MS)である(型式番号:MS-06)。

機体解説

初の正式量産型MS、ザクI (型式番号:MS-05、通称旧ザク)の性能をさらに向上させたのが本機である。一年戦争の序盤戦において大艦巨砲主義を引きずる連邦軍に壊滅的な打撃を与え、ジオン軍の快進撃の立役者となった。宇宙世紀の戦争における巨大人型兵器 モビルスーツ(MS)の優位性を決定づけた機体である。

主にMS-05では内装されていた動力伝達系統の改良や稼働時間の向上がなされ、この機体をもってジオン公国軍地球連邦軍に戦争を挑む事を決意した。この機体は汎用性が高く、オプション武器・装備も多彩で、様々な作戦環境に合わせてカスタマイズされた機体のバリエーションも多く作られている。

主要武装は専用の120mmマシンガン(ザク・マシンガン)もしくは280mmバズーカ(ザク・バズーカ)を装備し、また対艦船用近接兵器のヒートホークも装備する。さらに左肩に棘(スパイク)付きのショルダーアーマーを装備しており、格闘時にタックルなどに利用することができる。なお、標準機ではスパイクは3本。稀に右肩の防御シールドにもスパイクを装着した機体も見ることができる。

一年戦争中の生産機数は、ザクI を含めて約8,000機と言われ[1]、これは両軍を通して最高の生産数である。一説に約3,000機とするものもあるが、これはF型のシリーズ全体の生産数と同じであるため、誤認であると考えられる。ただし、ジオン公国軍が生産したMSの総数を約4,000機とする資料もある。

その優れた設計と絶大な戦果によって後のMSに多大な影響を与える事になる。特に機動性を重視した設計や、固定兵装を持たず様々なオプション装備で汎用性を確保する等のコンセプトは後のMSのスタンダードとして定着してゆく事となる。また、人型の兵器による白兵戦が宇宙世紀の戦争形態となる事を決定付けた機種でもある。

戦争序盤は連邦軍を圧倒したザクIIだったが、後に連邦軍ガンダムとその廉価版であるジムを開発すると旧式化が否めなくなり、戦争終盤では連邦のMSに圧倒されるようになってしまった。

武装

ザク・マシンガン

主兵装として120mmマシンガンを携行する。主にザクが使用していたことから通称「ザク・マシンガン」と呼ばれる。弾薬は薬室上部の円盤型弾倉(設定状の呼称はドラムマガジン)から給弾される。ザクI登場時に開発されていた105mmザク・マシンガン(型式番号:ZMP-47D 内部のわずかな改造により120mm弾を使用した物もある)や120mmザク・マシンガン(型式番号:ZMP-50B)の発展型でありドラムマガジンは水平型に改められている。ひとくくりにザク・マシンガンと総称されるが、ドラムマガジンを横に装備し、ストックが簡略化された仕様の異なる物などがいくつか存在しており、細部の仕様もそれぞれ異なり、生産会社や工場によるバリエーションもあるとされる。開発時には敵機として宇宙艦艇や宇宙戦闘機を想定していたため、破壊力を重視した榴弾徹甲榴弾を使用する。また、宇宙での運用が前提となっていたため、射撃時の反動を軽減するため砲弾の初速は比較的抑えられている。そのため地球連邦軍がMSを実戦投入すると貫通力の低さが問題視された。

M-120A1
最も広く使用されたタイプであり、「ザク・マシンガン」といえば通常これを指す。『機動戦士ガンダム』のTV版、劇場版で使用されたタイプはすべてこれである。開発を請け負ったジオニック社の社内開発コード「ZMC38III」の番号も広く知られており、「ZMC38III M-120A1」と併記することが多い。単発(ライフルモード)と連射を切り替えることが出来る。単発は『機動戦士ガンダム』TV版第1話および劇場版『I』にて、サイド7内においてジーン軍曹が使用、連邦軍試作兵器の多くを破壊しているが、ガンダムの装甲には全く歯が立たなかった。レシーバーは巨大なネジで留められており、ザク自身の手で分解や応急修理が可能になっている。装弾数は332発。後にザク・デザートタイプの「M120AS」に発展した。
ZMP-50D
型式番号から分かるとおり、ザクIのザク・マシンガンの直系タイプ。ドラムマガジンが右にオフセットされている。装弾数は100発。ZMPとはザク・マシン・ピストルの略。
MMP-78
連邦軍のV計画により、対MS戦の必要性に迫られ貫通力が強化された新型マシンガン。前期型と後期型があり、後期型ではグリップの取り付け位置とグレネードランチャー、オプションで対空弾と下から装填される専用箱型マガジンが追加されている点が異なる。MMPとはモビルスーツ・マシンピストルの略である。『0083』で登場する後期型は、M16系のXM177をプロップガン風にアレンジしたような外見になっているのが特徴。
MMP-80
MMP-78ザク・マシンガンに代わる新型。大きく前期型と後期型に分かれる。以前より小口径(90mm)になっており、速射性と命中率がアップしている。給弾方式が下部からの箱型弾倉に変更され、小型化により持ち運びが容易になった。標準装備のシングルカラム32連装ボックスマガジンの他にトリプルカラム100連装バナナマガジンも用意され、大幅な火力増強が図られていた。ただし、前期型には120mmのものもあったようである。『0083』でF2型やゲルググマリーネが装備する後期型は、現実世界の銃であるMP40サブマシンガンを映画プロップガン風に改造したような外見になった。プラモデルなどでサイズやオプションなどが異なるのは、サイズ変更によるレンジ延長などで威力強化やより多目的に使用できるように仕様変更した結果であると考えられる。

その他の武器

280mmバズーカ
通称「ザク・バズーカ」と呼ばれるザクI用バズーカの発展型。元々対艦用に開発されたバズーカであり、核弾頭の使用が前提であった。南極条約の締結後は核兵器の使用ができなくなり威力が落ちたため、さまざまな改良型が開発されることとなり、試作型ザクバズーカを経てドムジャイアントバズに発展した。口径が240mmの物も存在する。複数のバリエーションがあったものと考えられる。H&L社製。(型式番号:H&L-SB25K)
ヒートホーク
ザクI用ヒートホーク(型式番号:HEAT HAWK Type3)の発展型。斧の刃部分から高温を発し敵の装甲を焼き切る格闘兵器。当初は対艦船用近接兵器であったが、後に地球連邦軍がMSを開発すると、対MS用にも転用された。グフザクIでも装備している姿が見られる。ルナチタニウム製のガンダムのシールドを叩き割るなど、まともに食らえばガンダムといえど無事では済まない威力を持つ。両刃にした「ヒートトマホーク」等、バリエーションも非常に多く、生産形態は明確ではない。一般的なザクII用ヒートホークの型式番号は、HEAT HAWK Type5。後のグリプス戦役地球連邦軍ハイザックが改良型ヒートホークを使用している事から、ビーム兵器主体の時代になってもある程度の有効性は認められていたようである(ハイザックはビーム兵器を2つ同時に使用できない)。
実体刃がないビームサーベルとなぜ刃を打ち合わせ、鍔迫り合いができるのかは諸説があるが、IH説「刃の加熱に電磁誘導を用いているため、周囲に強力な磁場が発生している。そのためビームを磁力で封じ込めているビームサーベルとは反発しあう」というものが有力となっている。
もっとも、斬撃ではなく溶断を目的とするこの兵器ならば鋭利な刃は必ずしも必要ではなく、むしろ細身のアイロンのような形状が理想的とも思われ、その説に沿った設計図[2]も描かれてはいるのだが、その後これに準ずる設定改変は行なわれてはいない。ただし、溶断というよりも装甲を叩き折る、引き裂く、といった表現が相応しい使い方もされる。そうした使用のためか、刃は4、5回の戦闘で駄目になってしまう使い捨て兵器とされている。
クラッカー
MS用の投擲兵器。手榴弾としてMSのマニピュレーターによって、目標に直接投げつける。クラッカーの本体には計6つの突起が付いており、それが各々の方向に爆散することで広範囲に威力を発揮する。
シュツルムファウスト
使い捨ての大型弾頭ロケットランチャー。名前を直訳すると「突撃鉄拳」。F2型とFZ型、また『機動戦士ガンダム MS IGLOO』ではシャア専用機が使用したが、それぞれ形状が異なる。F2型やシャア専用機が使用したタイプは第二次世界大戦でドイツ軍歩兵の使用した携帯無反動砲パンツァーファウストを大型化したような形状である。そのパンツァーファウストの発展型であるパンツァーファウスト3は単なる無反動砲ではなく弾頭がロケットブースター付きとなっており、シュツルム・ファウストでも同様と思われ、映像でもロケットの燃焼が確認できる。しかし無誘導兵器であるため、MSのような機動性の高い標的に命中させることは難しい。特にザク用という訳ではなく、ドムなど他のMSでも使用できる。なお、後世のギラ・ドーガも同名の武装を装備しており、こちらは実際に旧ドイツ陸軍のパンツァーファウストをMSサイズにスケールアップしたもの、と設定されている[3]
脚部3連装ミサイル・ポッド
陸戦型ザク用に開発されたミサイル・ポッド。宇宙での使用も可。3発のミサイルを内蔵した3連装式で、脚部のウェポンラッチに装着され手持ち武器を持ったまま使用が出来た為、副武装としてザクシリーズだけではなくグフイフリートなど幅広く使用された。
ZIM/M.T-K175C無反動砲(マゼラ・トップ砲)
ジオン軍主力戦車であるマゼラ・アタックの175mm砲を取り外し、MS用の手持ち武器として改造した火砲。本来は現地改修の非公式兵器であったが、マシンガンとバズーカの中間的用途の遠距離射撃用兵器として、意外に多くの地上部隊で使用されていた(『機動戦士ガンダム』 第21話や『第08MS小隊』 第8話などに登場)。
Sマイン
対人近接防御兵器。機体各所から発射され空中で爆発、小型鉄球の雨を降らせて至近に迫った敵兵を駆逐する。『第08MS小隊』ではMS-05が、『MS IGLOO2』ではMS-06が使用。モデルになったのは第二次大戦でドイツ軍が使用した跳躍地雷・Sマインで、これを戦車内から射出する装置もあった。

劇中での活躍

アニメ『機動戦士ガンダム』では、第1話からほぼ全編にわたって登場している。宇宙世紀史上初めて実戦でMS同士が相対したのが、ガンダムとザク(ザクII)である。しかし、劇中中盤まではホワイトベース隊に、終盤では連邦軍MS隊によって次々に撃破されていくシーンが哀愁を漂わせている。

アニメ『機動戦士ガンダムΖΖ』では、ネオ・ジオンが自軍の戦力として使用している。その時点ではかなりのロートル機であり、敵機と遭遇する確率の低い哨戒などの任務に使用されていた。39話で運悪くガンダム・チームと交戦することを余儀なくされた部隊は新鋭機のZZガンダムの前にことごとく撃墜されてしまう。基本性能に変化はないが、コクピットはリニアシートに換装されている。また、宇宙空間に放棄されて浮遊していたザクIIアーガマに回収され、その当時破損していたΖガンダムの頭部の代わりに、緊急的に先に回収したザクIIの頭部を取り付けて出撃した場面もある。この時の機体は便宜上「Ζザク」と呼ばれる。なお、当機の視界映像はザクIIのモノアイラインそのままにしか映らなかった(支柱の影すら映っていた)。

アニメ『∀ガンダム』では、ルジャーナ・ミリシャによってザクIザクIIに容姿が大変似ている機械人形が多数発掘され、「ボルジャーノン」と呼ばれ活躍している。一部の登場人物からは「ザク」とも呼ばれた。また、そのボルジャーノンパイロットたちは「黒歴史」の記録映像に登場したジオン公国ザクIIを見た際「ボルジャーノンはどんな時代でも大活躍してますぜ!」と述べ、彼らにとっては両者は同一物と見なされている。

設定の変遷

諸元
MS-06F ザクII
ガンダムセンチュリーでの非公式設定)
所属ジオン公国軍
製造ZIONIC社[4]
全高17.5m
本体重量36.4t
全備重量67.1t
出力9,200kw(12,300馬力)
推力210,400kg
最高速度160km/h
装甲材質発泡金属
カーボンセラミック
ボロン複合材料・等
120mmライフル(弾数100)
280mmバズーカ
ヒートホーク
搭乗者ジオン公国軍一般兵士

最初のTVシリーズに登場するMSの公式設定は非常に少なく、特にジオン側のモビルスーツで当初から具体的なカタログデータが設定されていたのはザクだけであった(右表参照)。従っていわゆる「リアルな設定」の大半は、後に書かれたムックの記事や模型化・商品化の際に設定された、アニメのスタッフが直接関わっていない非公式のものである。ただし、「作品中で映像化された段階で公式」とするサンライズのルールにより、後に公式となった設定もある。(ムックのタイトルに『公式〜』とあっても、実際は外部の編集スタジオにより公式・非公式設定が混同されて書かれたものもあり、注意が必要である。)例えば「ザクII」という名称は『ガンダムセンチュリー』(1981年発行)が初出であり、CMなどに使われたことはあるが、映像本編において使われたことは現在のところ一度も無い「非公式設定」となる。もっとも、旧ザクの呼び方の一つ「ザクI」は公式となったため、その流れで「ザクII」も公式名称と拡大解釈することもできる。またジオニック社がザクを製作したという設定も『ガンダムセンチュリー』が初出であるが、こちらは後に映像作品で使用され「公式設定」となっている。

ザク・マシンガンの水平な円盤型弾倉はデグチャレフDTアメリカン180といった現実世界の銃を思わせるが、デザインに特定のモチーフは無い。しかし雑誌企画『ガンダム・センチネル0079』でデザインの大幅なリファインが行われ、現実世界の銃であるXM-177サブマシンガンをモチーフにしたような形状となった。また、プラモデル「1/100 マスターグレード 量産型ザク」商品化の際にもリファインが行われたが、この時は微妙な形状やパーツのレイアウトの変更に止まっている。後にそれぞれMMP-78、ZMP-50、そして『機動戦士ガンダム』第1話からほぼ全編に渡って登場するオリジナルのものにM-120A1の型式番号が与えられ、全て「ザクマシンガン」と呼ばれるが別形式であると設定された。これらの詳細は「U.C. ARMS GALLERY」商品化の際に追加されたものである。

諸元
モビルスーツ ザク
(TV放映当時の公式設定)
所属ジオン公国軍
製造ジオン公国
頭頂高17.5m
重量74.5t
出力951kw
55000Hp(機関出力)
最高速度85km/h
装甲材質超硬スチール合金
専用マシンガン
バズーカ
ヒートホーク
搭乗者ジオン公国軍一般兵士

なお今のところ、ザクマシンガンの公式設定はTVアニメ放映時からあった口径が120mmであること、砲弾の装薬が薬莢式であること、フルオート射撃が可能なこと、また『0083』登場のMMP-78でグレネードランチャーや箱型弾倉の使用が可能になったことくらいであり、後は全て後付の非公式設定である。

また、『機動戦士ガンダム』劇中で地上のみに登場したクラッカー及び3連装ミサイルポッドは『MSV』において陸戦型ザクII武装であると設定されている。

装甲材質は『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』の1/144HGキット(1998年発売)の説明書では超高張力鋼となっている。この表記は1985年の月刊ニュータイプ付録にあったモビルスーツカタログが初出で、それまで「馬力」と表現されていた一年戦争時のMSの「出力」に関する数値設定も「kw」という単位で再創作された。これらはシリーズ第2作『機動戦士Zガンダム』が長いブランクをおいて制作されたために、第1作の諸情報が失伝してしまっていたことによる(「ルナチタニウム」が「ガンダリウム合金」の前身、という後付け説明も同様の理由である)。

その後2000年代以降、TVシリーズ以来のアニメの設定やHGUCキット(2003年発売)では超硬スチール合金という名称に再統一された。

超高張力鋼は現実に存在するもので、自衛隊の新型潜水艦に使われているNS110等がそれにあたるが、引っ張り強度や水圧に対する強度は高いものの、耐弾性の高い硬化処理が成された防弾鋼というわけではない。

備考

ザクのメカニックデザイン大河原邦男、設定書のフィニッシュワークは安彦良和による。当時は敵側のメカが玩具化されることはなかったため、スポンサーの制約を受けず、自由にデザインすることができた(ただし、頭部のモノアイは監督からの指示による)。大河原は当時の他のアニメと同じく、1話で消えるやられメカだと思ってデザインしたという。名称は「雑魚」と、軍隊の「ザクッザクッ」といういわゆる軍靴の音を組み合わせたもの。

ザク?についてwikipedia