■ガンダム■ズゴックMSM-07
機体解説
ズゴック Z'GOK | |
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型式番号 | MSM-07 |
所属 | ジオン公国軍 |
開発 | MIP社 |
生産形態 | 量産機 |
頭頂高 | 18.4m(19.4mとする資料もあり) |
本体重量 | 65.1t |
全備重量 | 96.4t(84tとする資料もあり) |
出力 | 2,480kw(123,300馬力[要出典]/74000馬力[1]) |
推力 | 83,000kg |
装甲材質 | チタン・セラミック複合材 |
6連装24cmロケット弾発射器(内蔵:弾数30) メガ粒子砲×2 アイアン・ネイル×2 | |
搭乗者 | カラハ リー・ホアン ゴダール ジッタル シャア・アズナブル |
モビルアーマーを多く開発したMIP社の開発による唯一のモビルスーツ(MS)であり、ツィマッド社のゴッグと同時期に開発に着手した。アッガイの型式番号であるMSM-04は本来なら本機に与えられるはずであったが、先に運用されたゴッグのデータをフィードバックしたためアッガイよりも量産化が遅れ、別の型式番号を与えられた経緯を持つ。だがその高い完成度はジオン公国製MSの中でもトップクラスであり、先行して量産化されていた2機種に代わって水陸両用MSの主力となった。キャリフォルニアベースにおいてゴッグの後期型と同じラインで生産が行われた。名前の由来は、ペルシア語の「蛙から産まれた」である。
ジェネレーターの冷却を水冷式から水冷・空冷式のハイブリッドに変更したことで搭載する冷却水を減らすことに成功し、ゴッグより20tほど軽量化されている。水中では股間部分の水流ジェット推進器で航行する。また背部には熱核ジェットと熱核ロケットを兼ねた推進器を装備し、水中はもとより陸上でも陸戦型ザクIIと同程度といわれる軽快な運動性能を示した。モノアイ・レールは全周ターレットとなり背部の視認性が向上した。
ジェネレーターの高出力化、機動性、装甲の軽量化・強化などを施したS型 (MSM-07S) が存在し、初期は指揮官用として生産されていたが、一年戦争末期には一般兵向けの量産機も全てS型に移行されている。S型の中でも赤く塗装されたシャア・アズナブル専用機が有名である。後に戦場が宇宙に移行したため、宇宙では使用出来ない本機の一部は使い捨て兵器ゼーゴックに改造された。
より格闘戦に特化した姉妹機ゾゴックも開発されている。また、後に統合整備計画にて再設計され、各部を改良したズゴックEが開発された。
武装
- 240mmミサイル
- 頭部に発射管を6基(8基の機体も確認されている)を装備している。(装弾数30発)
- 水中での発射も可能であるが耐圧深度が低く、主に浮上・上陸後、また対空用に用いられた。
- アイアン・ネイル
- 他の水陸両用MSと同様のフレキシブル・ベロウズ・リムと呼ばれる多重関節機構を採用した両腕部の先端に3本(4本という説もある)装備している。
- 格闘戦の際に打突・斬撃用の近接兵器として用いられ、高い機動性を生かすことでパイロットによっては配備が始まった地球連邦軍のジムを一撃で葬ることが可能であった。
- メガ粒子砲
- クローの中央に内蔵している。
- 胴体に内蔵することでその射角が限られていたうえに拡散型であったゴッグのメガ粒子砲と比較して、収束率も高まり、非常に高い自由度と貫通力を持っていた(一部初期生産の量産型ではマシンガンを搭載した機体もある)。
オプション兵装として、クローの代わりにアッグガイと同様のヒートロッドを装備した腕部ユニットがあったといわれるが、それを実装した機体は現在まで未確認である。
劇中での活躍
TV版第27話に初登場。
カラハ曹長の操縦するズゴックは、ゴッグ一機(パイロット不明)と共に連邦軍ベルファスト基地を攻撃した。連邦軍守備隊の通常兵器による攻撃を一蹴したズゴックは、ハヤト・コバヤシのガンキャノンの射撃を軽々と回避、アイアンネイルで機体を拘束して両腕を引きちぎりにかかった。そして割って入ったアムロ・レイのガンダムをも水中戦で翻弄するが、海面へ逃げるカンダムを追って浮上したところをカイ・シデンのガンタンクに狙撃され、飛び降りてきたガンダムのビームサーベルで頭から両断されて撃破された。
この攻撃は、ホワイトベースにスパイ107号ミハル・ラトキエを潜入させるための陽動作戦であった。107号は潜入に成功、ベルファスト基地にも打撃は与えたが、ズゴック・ゴッグだけでなく、発進させたユーコンまで撃沈されるという損害(第26話の第一次攻撃も合わせると、母艦1、MS4機という大損害)と見合うものだったかどうか、疑問が残る。
TV版第29話(『劇場版 機動戦士ガンダムII 哀・戦士編』)ではシャア・アズナブルが専用のズゴック(S型)に乗って、ジャブロー攻略に参加。ジャブロー内部にてジム数機をあっという間に葬った。この後ガンダムと交戦するがメインカメラと右腕を破壊されて撤退している。このジムのコクピットをズゴックのクローが貫くシーンは、左遷されていたシャアがライバルとしての復活を印象付ける劇中屈指の名シーンである。
『機動戦士ガンダムΖΖ』では第40話で、タイガーバウム・コロニーにおいて、成金のスタンパ・ハロイのコレクションをジュドー・アーシタが拝借し、ハマーン・カーンの操る、同じくスタンパのコレクションであるアッガイと交戦した。続く第41話では、スタンパ自身がズゴックに搭乗し、ジュドー・アーシタ達を追いつめるが、その際ラサラ・ムーンを殺してしまい、逆上したモンド・アガケの駆るガンダムMk-IIに撃破された。
漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』ではデザインが大幅にリニューアルされている。本編で初めて登場したのはシャアがジャブロー攻略に使用した赤い機体であり、ガンダムが改装中だったためジムに乗ったアムロ・レイと交戦し、ウッディの乗ったファンファンのミサイルに気を取られている隙に右腕を切られ撤退した。その他、ジオン軍マッドアングラー隊のスビッチが操縦し、ボラスキニフ曹長のゾックと共にグラブロに引かれてホワイトベースをミサイル攻撃する。その際、ウォン伍長のコアファイターに右腕をミサイルで破壊され、その後、カイ伍長とミハルのガンペリーの大型ミサイルで撃破される。スレッガー中尉に『丸頭』と呼ばれていた。
他にも岡崎優の漫画『機動戦士ガンダム』ではドズル・ザビの指揮の下、他の水陸両用モビルスーツと共に宇宙を飛び回っていた。
ヒートロッド装備機はプラモデル「フルカラーモデル ズゴック」のインストの記述が初出、ただしヒートロッドユニットのイラストのみの掲載であり、それを装備したズゴックは描かれていない。
設定の推移
監督の富野由悠季によるラフデザインの段階では、本機はゾゴックと共にゴック(その当時の表記)・バリエーションのひとつという設定であった。なお、視界不良を補うためか多数のカメラアイを有する、という意味での複眼モビルスーツと設定されていた。また、デザインを固める過程で生まれたと思われるゾゴックの意匠(ズゴックにゾゴックの手足が付いている)を併せ持つラフデザインも存在する。
バリエーション
- 元祖SDガンダムに登場するオリジナルMS。
ズゴックE
ズゴックE Z'GOK EXPERIMENT | |
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型式番号 | MSM-07E |
所属 | ジオン公国軍 |
生産形態 | 量産機 |
頭頂高 | 18.4m |
重量 | 69.5t |
出力 | 2,570kw |
推力 | 20,000kg×4 16,000kg×2(陸上用) 計112,000kg |
装甲材質 | チタン・セラミック複合材 |
魚雷発射管×6 ビーム・カノン×2 バイス・クロウ×2 | |
搭乗者 | ハーディ・シュタイナー |
ズゴックE (ズゴック エクスペリメント、Z'GOK E:Z'GOK EXPERIMENT)はOVA『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』に登場する架空の兵器。ジオン公国軍の水陸両用モビルスーツ(型式番号:MSM-07E)。Eは「試験機」を意味するエクスペリメントの略である。
一年戦争中にジオン公国軍突撃機動軍所属マ・クベ中佐(当時)が立案した「統合整備計画」によって改良された、ズゴックの性能向上機である。そもそもズゴックは非常に高い完成度の機体であったが、コストの高さと操縦性に難点を抱えていた。そこでこれらの問題点の解消と共に更なる機体性能の向上が図られた。部品の共通化と簡略化によって大幅なコスト削減を達成した。更に統合整備計画による他のMSとコクピットを統一化し、コスト削減と同時にパイロットの負担の減少に貢献した。
水中航行時の水流抵抗を軽減するため機体各部に改良が加えられ、航行速度の向上が図られた。ゴッグで採用された腕部及び脚部の収納システムに加え、肩部及び腰部にはフェアリングを兼ねた装甲が追加された。更に背部の推進器は熱核ジェットエンジンとして股間部と脚部に、陸上のみで使用するスラスターとして胴体一体型のものへと再配置された。また、ハイゴッグのものと同規格のジェット・パックを背部に増設することも可能であった。
その上、機関部を一新したことにより機動性が上がって陸戦能力が向上した。ハイゴッグ同様にモノアイはサーチライトとしても使用可能であった。
一年戦争末期に開発されたため生産数は少ないが、主に特殊任務の隊長機として用いられたと言われている。水陸両用MSとしては一年戦争中最高クラスの完成度を持つ機体である。
- 武装
- 魚雷発射管
- 頭部のミサイル発射管は、水中での使用を考慮した魚雷発射管に換装。
- バイス・クロー
- 腕部先端のアイアン・ネイルは4本爪とされ、簡易的ではあるがマニピュレーターの様に使用することが可能となった。
- メガ粒子砲
- 連射性能と威力が高められ、ビーム・カノンとも呼ばれることとなった。本体のジェネレーター出力は大差なく、この性能アップにはエネルギーCAP技術の確立が寄与している。
- 劇中での活躍
- 『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』では第1話の冒頭シーンに登場。ジオン公国軍突撃機動軍所属サイクロプス隊の隊長であるハーディ・シュタイナーのズゴックEは隊員のミハイル・カミンスキー、アンディ・ストロース、ガブリエル・ラミレス・ガルシアらの搭乗したハイゴッグと共に地球連邦軍の北極基地を強襲し、基地防衛のMSを圧倒した。
ズゴック改
小説版『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』では、OVA版において登場したズゴックEとハイゴッグの代わりにズゴック改と呼ばれる機体が登場する。
その名称が示す通り、ズゴックEと同様にズゴックの改良型であり、重量バランスの変更などによって汎用機に比べて劣る陸戦能力を強化した機体となっている。また、OVA版のハイゴッグと同様に、腕部にハンドミサイルユニットを装着することが可能。
なお、劇中の活躍に関してはOVA版におけるズゴックEとハイゴッグのそれととほぼ同様である。
RFズゴック
RFズゴックE RF Z'GOK | |
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型式番号 | OMSM-07RF |
所属 | オールズモビル |
生産形態 | 量産機 |
頭頂高 | 18.4m |
重量 | 57.9t |
出力 | 2,830kw |
推力 | 67,900kg |
ヒートクロー×2 ビームカノン×2 対艦対空ミサイル×4 ビームシャワー | |
搭乗者 | オールズモビル兵 |
SFCゲーム『機動戦士ガンダムF91 フォーミュラー戦記0122』に登場。オールズモビルが開発したモビルスーツ。最新の技術を用いたズゴックのリファイン機。(型式番号:OMSM-07RF)
外見こそ一年戦争時のズゴックだが、性能はオリジナルを大幅に凌駕し、宇宙世紀0120年代の機種に匹敵する。
主に陸上における戦闘能力が強化されており、陸上での機動性の改良に加え、両腕部のクローは、ビームカノンを放つ事の出来るヒートクローに換装され、攻撃力が向上している。更に背部のハイドロジェットによって潜水艦並みに長期の水中活動が可能となった。
パーフェクトズゴックキャノン
パーフェクトズゴックキャノン は、一般公募のイラストコンテスト「月刊コミックボンボンオリジナルデザインコンテスト」でグランプリを受賞し、後にガシャポン『スーパーディフォルメガンダムワールド』MARK-14にてSD体型で立体商品化された機体。横井孝二によるデザイン画も存在するが、リアル体形のデザイン画は存在しない。
ズゴックとは姿が大きく異なり、派手な赤色で包まれた装甲を持ち、額にハイ・メガキャノン、バックパックにキャノン砲を装備し、水中戦から宇宙戦まで対応可能である。
ゼーゴック
ゼーゴック Ze'GOK | |
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型式番号 | MSM-07Di |
所属 | ジオン公国軍 |
開発 | ジオン公国軍技術本部 |
生産形態 | 試作機 |
全高 | 13.2m |
全長 | 27.3m |
全幅 | 15.6m |
重量 | 212t/ペイロード:540〜917t(装備により異なる) |
出力 | 2,453kw(ズゴックユニット) 4,680kw×2(ダイブマニューバー・ユニットの熱核エンジン) |
推力 | 285,000kg(装備により異なる) |
装甲材質 | 不明(ズゴックユニットについてはチタン・セラミック複合材) |
腕部メガ粒子砲 | |
搭乗者 | ヴェルナー・ホルバイン |
ゼーゴック(Ze'GOK、型式番号MSM-07Di)は、アニメ作品のガンダムシリーズ『機動戦士ガンダム MS IGLOO -黙示録0079-』第一話「ジャブロー上空に海原を見た」に登場する架空の兵器。
衛星軌道上から大気圏に突入し、地上・海上の敵に対して奇襲攻撃を行うことを目的とした特殊兵装である「モビルダイバーシステム」の機動管制ユニット。モビルダイバーシステムは、この機動管制ユニットと大量兵器コンテナ(LWC=Logistics Weapon Container)により構成され、両者は管制ユニット側のパイロンにて接続されている。一年戦争末期、ジャブローより行われていた地球連邦軍艦艇の打ち上げ阻止のため、LWCに高機動性能を与えることによる新たな対地攻撃兵器として投入された。
名称の由来は、水陸両用モビルスーツであるズゴックの上半身が用いられていることによる。ズゴック頭部のロケットランチャーは発射口の形状こそ残っているが全ての機能が除去され、右腕もセンサーに換装されているため、機動管制ユニットとしての武装は左腕のメガ粒子砲1門のみである。使用機体にズゴックが選ばれた理由は水陸両用モビルスーツとしての気密性や装甲の堅牢性及びジェネレーター出力の高さだけでなく、他の水陸両用モビルスーツには無い、水中・大気中でも稼動可能なハイブリッド・エンジンを搭載していたことによるものである。しかしその一方で、主戦場が宇宙に移行し、オデッサの陥落及びジャブロー攻略の失敗等によって殆どの地上拠点を失ったジオン公国軍にとっては、もはや使い道の無くなった水陸両用モビルスーツの再利用という側面があったようであり、本来の計画段階における機動管制には別の新型モビルスーツを使用する予定であったらしい。
衛星軌道上から降下したモビルダイバーシステムは任務終了後にLWCを投棄、ガウ級攻撃空母等に収容されて戦闘データとパイロットを回収した後はゼーゴック本体も地上にて廃棄される、完全な「使い捨ての兵器」であった。
第2次運用試験の際にホルバイン少尉と共にヒデト・ワシヤ中尉が搭乗し「複座」となっているが、この後部座席は603技術試験大隊でのテスト時に、エンジニアリングオフィサーとして搭乗したワシヤ中尉のために増設された簡易シートである。本来は元のズゴックと同じく単座仕様となっている。
- 劇中での活躍
- 設定では9機試作されたことになっており、劇中ではヴェルナー・ホルバイン少尉をテストパイロットとする評価試験が4回実施された。当初、評価試験は604技術試験隊「ムスペルヘイム」で実施されていたが、1回目の試験のときゼーゴックの射出直後に母艦であるムスペルヘイムが撃沈されたため、2回目から4回目の試験は603技術試験隊「ヨーツンヘイム」にて実施された。
- 1回目の試験ではどのような作戦行動を行ったのかは不明。
- 2回目の試験では大型ミサイル4発を搭載し、上昇中の連邦軍艦船に対して横方向から攻撃した。
- 3回目の試験では28連装ロケットランチャー「R-1(アール・アイン)」を装備。水平飛行に移りつつある連邦軍艦船に後方から射撃を行おうとしたが、直前にミサイルの迎撃にあい射程距離外へ逃げられた。(一応評価試験のために、R-1は発射している。)
- 4回目の試験ではモビルアーマー用のビーム砲を改造した拡散ビーム砲「クーベルメ」を搭載し、垂直上昇中の連邦軍艦船とすれ違いざまに下方から攻撃を行った。その際の戦果はマゼラン級戦艦1隻、サラミス級巡洋艦4隻の同時撃沈という晴れ晴れしいもので、この戦果は映像作品として確認されているモビルアーマーの戦果としては最多である。
しかし、その直後にコアブースターII・インターセプトタイプの追撃を受けて回収機のガウが撃墜され、ゼーゴックも被弾し海上に墜落し、ホルバイン少尉は消息を絶った。
- もともと急造・転用兵器としての問題点も抱えてはいたが、高い技量を持つパイロットが不足している(大気圏突入を行いながらLWCを温存し、敵の迎撃を回避しつつ攻撃を行うため)こと、及び先のとおり主戦場が宇宙へ移行した(地上の拠点が無ければデータやパイロットの回収も不可能になるため)ことにより、公国軍はこれ以降の試験を打ち切った。