■ガンダム■グフMS-07B



どれすsilver925

グフ

諸元
グフ
GOUF
型式番号MS-07B(YMS-07B)
所属ジオン公国軍
開発ジオニック社
生産形態量産機
全高18.7m
頭頂高18.2m
本体重量58.5t
全備重量75.4t
出力1,034kw
推力40,700kg
最高速度99km/h(地上最大走行速度)
装甲材質超硬スチール合金
75mm5連装フィンガーバルカン
ヒート・サーベル(グフサーベル)
ヒートロッド
ヒートホーク
シールド
MMP-78ザク・マシンガン
360mmジャイアント・バズ(弾数10)
搭乗者ランバ・ラル

ジオン公国軍が地球侵攻の折に使用したザクII J型はあくまで地上に対応させるための改修型で、新たに陸戦専用のMSの開発が求められた。そこで開発されたのが「グフ」である。陸戦型ザクIIで問題となっていた装甲の強化や運動性の向上とあわせ、連邦軍のMS開発を考慮して、白兵戦用に機体本体に固定武装を追加された、ザクとは違う機体となった。

ザクIIとの外観上の違い

全体的なフォルムはザクIIとの共通点が多いが、アニメの設定でも模型でも、面構成はかなり異なる。これは劇中設定とアニメ制作どちらにおいても、ザクIIの設計を基礎として発展させたためと考えられる。ただし出力データや劇中で描かれる性能などから、機体内部のメカニズムは相当異なると思われる。外見的な主な違いは以下の通り。

  • 隊長機マーク(いわゆるツノ)が全機についている。隊長であるランバ・ラルが用いた機体のみならず、ラルの死後に登場したグフも隊長機マークが全機についている。これは初代ガンダムの作画における細部設定がまだ曖昧で、またバンクシステムがかなり使われておりメカや戦闘シーンのバンクは非常に多かったことが理由として考えられる。資料によってはこれを通信用アンテナとし、電波の伝わりづらい地上では、一般兵にも高出力アンテナが必要とされたとの説明がなされている。
  • モノアイ(頭部カメラ)の溝の前後高さが細い。初代ガンダムでは、ここがザクIIと同じ高さになっていたという作画ミスが比較的多く発生していた。
  • 動力パイプが顔の横(人間で言えば耳の位置)で上がっているため、モノアイの端の短い溝が無い。
  • 肩のアーマーが両肩とも丸型で、スパイクの一本が内側に反り返っている。
  • 固定武装(ヒートロッドとフィンガーバルカン)の追加。
  • 腹部コクピット部ハッチとランドセル(背面ブースター)の形状が全く異なる。設定書ではコクピット部は窓付きの直接視認型のようにも見えるが、劇中や模型では窓部分の色違いは単なるパネルラインとして処理されている。
  • 脚部も、動力パイプが外部に露出していない、脛にブースターの様な穴が開いているなどの違いがある。

放送当時に出ていた子供向けのアニメ絵本では、シャアがシャア専用ザクに乗っているシーンを描いたつもりが、赤いグフになっているシーンもあった。アニメ絵本の作画担当が、細部をよく見ずに混同したためと推測される。

開発経緯

ジオン公国軍は地球侵攻に向けてザクII(MS-06F)を地上用に改修した陸戦型ザクII(MS-06J)を投入することで対処した。しかし、所詮改修型では限界があり、すぐに後継機の開発に着手する。当初はグフ(MS-07)とMS-08の二つのプランが平行して進められたが、MS-08プランはYMS-08A(高機動型試験機)の5機をもってグフ(YMS-07A)のプランへ統合された。ただし、後にMS-08の型式番号を継承したイフリート(MS-08TX)が製作されている。

グフのプラン(MS-07)は地球侵攻作戦によって制圧した北米キャリフォルニア基地で設計・開発が進められ、ジオニック社によって陸戦用ザクIIをベースにプロトタイプグフ(YMS-07)が完成した。開発にあたってはMS同士の格闘戦を想定し、胸部装甲の強化、右肩に固定されていたシールドを取り回しの良い左腕部に設置し、両肩には大型化したスパイクアーマーを備えた。また、陸上における運用のためラジエターの大型化とともに機体の軽量化が図られ、バックパックはYMS-08A(高機動型試験機)のデータを基に製作された。開発当初から、重爆撃機ドダイYSとの連携攻撃を考慮されていたため、従来指揮官機用だった頭部通信アンテナを標準装備とした。試作1・2号機は通常のマニピュレーターだったが試作3号機から固定武装が装備された。

量産化にあたり試作型プロトタイプグフからの主な変更点はモノアイスリットを前方のみとしたこと、脚部の動力パイプを内装式としたこと、脛部にスラスターを追加したことなどである。本体は予定されていた固定武装の開発よりも先行して製造されたため、通常のマニピュレーターを装備した試験型テストタイプ(YMS-07A)がドダイYSとの連動テストや局地での可動データ収集をおこなった。この機体のテストデータを基に初期生産型(MS-07A)32機が先行生産されている。両腕の固定武装は試作型(YMS-07B)で標準化され、その後に標準装備型(MS-07B)として本格的に量産化されている。試作型は標準装備型と基本的に同一の仕様だが、ファインチューニングを施されていたため好成績を挙げている。

陸戦用ザクIIの生産ラインに替わって量産化されたグフは、オデッサジャブローでの戦闘に大量に投入された。白兵戦を重視した本機は高性能で、熟練パイロットに特に好まれたが、一般パイロットには扱いづらく、操縦性に難点があった。また、接近戦用に特化しすぎた内蔵式の武装は汎用性に欠け不評で、改良型のMS-07B3ではMS-07Aと同様の通常型マニピュレーターに戻されている。

本機を母体にMSを飛行させる計画が進められていたが、計画は芳しい結果を出さずに終わった。しかし、副産物としてMSのホバー走行に目処が立ち、ツィマッド社ドムで「MSの行動半径拡大」という目的は達成されることになる。以後陸戦用MSの生産の主体はドムに移ったが、一部の熟練パイロットはその後も、垂直方向への機動力の高いグフを好んで使っていたようである。

武装

固定武装を持たない先行量産型(MS-07A)は実戦で120mmマシンガンを装備していた機体が確認されている。

先行試作型(YMS-07B)と標準装備型(MS-07B)では両腕に固定武装が装備されている。白兵戦用武装として右腕部には伸縮式の電磁鞭であるヒートロッドが内蔵されている。最長で17.5mまで伸び、特殊デンドリマーを積層することにより幾層からなる圧電アクチュエーターを構成し、各層に独立して電荷を与えることにより自在に動かすことができる。それにより敵MSに絡みつき大電流を流すことで、電子回路を損傷させるとともにパイロットを感電させること(劇中の設定であり、実際には例えば車や航空機に落雷してもこのようなことは起こりえない)や、電流とともに熱を発生し敵装甲を溶断すること(こちらは実際にも起こりえる)も可能である。この兵装は後年のハンブラビの海ヘビ、ゾロアットビームストリングスなどの基礎となった。ちなみにビームサーベル等で切られても残った部分で使用可能である。

左手には5連装75mmマシンガン(別名グフマシンガン/フィンガーバルカン/フィンガーランチャー)を内蔵しているが、マニピュレーターとしての機能が低くなってしまい、汎用性が低いため前線での運用に問題があった。

シールド裏には格闘兵器としてヒートサーベルが装備され、高分子化合物による刀身を形成し相手を溶断することが可能である。

これは本来はビームサーベルのはずだった。劇中の描写もヒート兵器ではなく、放送時に発行の書籍でも「ビームサーベル」と明記されている。しかし、その後多くの解説本がその設定を忘れてゲルググギャンを「ジオン初のビームサーベル装備機」と長年にわたって記述し続けたため引っ込みがつかなくなり、“ランバ・ラルのグフの剣はビームサーベルのようだがビームサーベルではない”という認識がライター間では定着した。また、ビームなのか実体剣なのかをはぐらかして「グフサーベル」と呼んでいる書籍も存在した。

なお、後年の設定では、ヒートサーベルについて「形状記憶セラミック粒子でできており、起動時にグリップに収められていた粒子が刀剣状に展開し発熱する」としている。またB3型の装備の場合、設定書では「ヒートサーベル」とされていたが、映像では刃が灼熱化することがなく、その重量で叩き割る鉈のような使われ方だった。ただし、後のゲーム出演等ではほぼ全てにおいて白熱化した状態で運用されている事から、パイロットのノリス・パッカード大佐が、長時間使用する目的で灼熱化させなかったものと推測される。

劇中での活躍

アニメ『機動戦士ガンダム』第12話にて、これまで主力として登場していたザクとは塗装だけではなく外形も違う、新たな敵モビルスーツとして登場する。が、TVでオンエアされてもしばらくは「グフ」という名前がまだ設定されておらず、今までのザクとは違う新型のザク、という扱いだった。このため、ランバ・ラルの部下クランプはグフを含むラル隊のMSを「ラル様の3機のザク」と呼んでいる。「グフ」という名前はコズン・グラハムがホワイトベースの捕虜となってから初めて脚本上に登場した。

機体の武装や能力、さらにランバ・ラルの操縦技能をもってアムロ・レイの乗るガンダムを苦しめた。後にランバ・ラルの乗った機体は「YMS-07B 先行量産型グフ」と設定されている。

しかも、ランバ・ラルの乗るグフが撃破されてのち多少間をおいて第22話に、再び同様の機体が現れる。ザクと同様にこの機体も量産されている兵器である事を知らしめている。この時登場したグフは、ザクマシンガンとヒートホークにグフシールドを持つだけでなく、ヒートロッドも使っている。正確な型式名は不明。

第23話では、マ・クベレビルによるホワイトベース隊への補給を阻止するために、3機のグフを重爆撃機ドダイYSの上部に搭載し、ドップと共にマチルダ・アジャン率いるミデア隊を襲撃。同時にアムロ・レイの搭乗するガンダムを追い詰めるものの、最終的にはGファイターの出現が原因で、全滅している。

オデッサ近郊で登場したグフ(これが後にMS-07Aと設定された)の一部は両手共マニピュレーターでザク用の120mmマシンガンを携帯していたが、その後左手に5連装マシンガンを装備した機体(後にMS-07Bと設定された)が登場した。ジャブロー戦では、ドム用兵装と思われていた360mmジャイアント・バズを装備した機体も確認されているが、A型と考えて良いのだろう。また、両手共に5連装マシンガンを装備した機体や、左腕にヒートロッドを備えた機体も登場し、バリエーションの豊富さを物語っている。

なお、1980年代の書籍では、グフの使用する120ミリマシンガンやヒートホークについて、「グフは両手が武器になっているため上手く使えなかった」と記述している。

ゲーム『ギレンの野望』に登場するA型は120mmマシンガンとヒートホークを携帯し、アンテナブレードとヒートロッドを持たない。また、前述のアンテナがドダイとの連携用という非公式設定に合わせたのか、ゲーム中ではドダイへの搭載ができない。

ガンダムカードビルダーではプロトタイプグフの開発ナンバーはYMS-07Aとして表記されている。

ゲーム『ジオニックフロント』に登場するA型はプロトタイプグフとB型グフの中間的なデザインをしている。本編との時間軸を考慮するとプロトタイプグフを改造して使用したものか、先行試作機のYMS-07Aだと考えられる。

グフのカラーリングが青い理由は、YMS-07Bにランバ・ラルが搭乗したときのカラーが青だったため、後の量産型にも同色が継承されたというのが一般的な認識だった。後年、モデルグラフィックス誌の記事や学研のムック『一年戦争全史・上』では新たに、無塗装の金属が表面処理により青く見えるという新説が提唱されている。実際はアニメの制作上の都合、セル画のバンクによる再使用のために青いのを、記事を書いたライターが後付で考えたもので、どちらも非公式設定である。

バンダイのプラモデル企画「MSV」でデザインされた「MS-07H グフ飛行試験型」が機体色を変更されて登場した。一年戦争後に連邦軍に接収され、ジャブロー防衛に回された旧式機という設定で4機が登場し、カミーユガンダムMk-IIと交戦、全機が撃破された。映像からは脚部のホバーにより川の水面でも滑走可能な事が確認できる。武装ジャイアントバズーカを使用していた。「Ζガンダム」に登場したMSVシリーズの機体は登場時間が短いものが多いが、その中では一番活躍しており、視聴者の印象に残る機体だった。

「MS-07B3 グフカスタム」と「MS-07H8 グフフライトタイプ」の2種のグフが登場する。2種ともこの作品用にデザインされたものである。ノリス・パッカードの搭乗するグフカスタムは1機で主人公の部隊を翻弄する強さを見せ付けている。

ランバ・ラルが使用した機体は、ヒートロッドを収納する右腕が太く丸い形状になり、バルカン砲を装備している左腕は角ばった形状になるなど、アニメ版以上に左右非対称が強調された腕部に変更されている。武装に関してはヒートロッドの先端に展開式のアンカーロックが付けられ、左胸に三門の小型バルカン砲(本編未使用)を装備している以外は基本性能は同じである。その他に形状記憶タイプのヒートサーベルを多用し、ガンタンクを一刀で切り裂くなど接近戦において高い性能を発揮している。
オデッサ編」では、マ・クベのギャンに率いられ集団で登場した。その中の大半が角の付いていないタイプだったが、性能的に差があるのかどうかは不明。なお、実剣タイプのサーベルを装備していた。

備考

現在のデザインに至る前に、大河原邦男はザクの後継機案をもうひとつ描いている。口のダクトが下部に長く伸び、ドムのそれと似たヒートサーベルを斜めに装着、ゲルググのそれに似たシールドを装備、ギャンのように肩アーマーを廃した(スパイク付きではあるが)肩を露出させているという、その後のデザインに活かされた特徴を持つ機体である。結果的にもう一案の方が採用され、グフと名づけられるに至ったことは、MSのバリエーションを広げることに一役買っている。

バリエーション

  • YMS-07A プロトタイプグフ
  • YMS-07B グフ(ランバ・ラル専用機)
  • MS-07A グフ(初期量産型)
  • MS-07B グフ(後期生産型)
  • MS-07B3 グフカスタム
  • MS-07C-1 グフ(後期改修型)
  • MS-07C-3 グフ(重装型)
  • MS-07C-5 グフ(試作実験機)
  • MS-07H グフ(飛行試験型)
  • MS-07H-4 グフ(飛行型)
  • MS-07H8 グフフライトタイプ

  • YMS-08A 高機動型試作機

  • OMS-07RF RFグフ


プロトタイプグフ

(型式番号:YMS-07)

グフの試作型。陸戦用ザクIIをベースに製造された機体で、厳密にはザクの改造機。

初出はTVアニメ『機動戦士ガンダム』用のデザイン準備稿。デザインは大河原邦男

複数がロールアウトしており、一般的に公開されている画稿はマーキングより試作2号機と推測できる。3号機以降の機体は5連装マシンガン、ヒートロッド等の固定装備が増設された。この時点で外観の整理が行われ、既に量産型と外観上の差異もない。

2号機までの仕様をYMS-07A、3号機以降はYMS-07Bとされるが、3号機ロールアウト以降も1〜2号機に加えYMS-07A仕様の機体は少なくとも1機以上が増産されている。

これらの機体は量産化前のテスト運用を終えると共に、次なる開発プランの母体として使用されたり、実戦装備が施され前線に投入されていった。

MS-07Hの開発には3機のYMS-07Aと1機のYMS-07Bがベース機として流用された。実戦投入された例としては、後述するランバ・ラル隊の1機(YMS-07B)、『ジオニックフロント』に登場した闇夜のフェンリル小隊(MS-07Aとも表記されるが、各部の外観的特徴が示す通り、YMS-07Aに実戦装備を施したものである)等がある。

備考

一部の資料では、末尾にAもBもつかない「YMS-07」としてこの機体を紹介しているものもあるが、そちらも間違いではない。講談社ポケット百科シリーズ33「MSV ジオン軍MS・MA編」(昭和59年初版)もそんな資料のひとつだが、そこに掲載された陸戦MS開発系統図には、「YMS-07A」と「YMS-07B」の前段階として「YMS-07」が存在し、それぞれに枝分かれしていったともとれる表が掲載されている。この中で「YMS-07A」そのものについての詳細な言及はなされていないが、一方でほぼ同時期に発売された講談社ポケットカード9「MSVコレクション」では本機プロトタイプグフを明確に「YMS-07A」と定義した上で詳細な解説を行っている。これについての解釈は様々であるが、本稿ではポケット百科シリーズとポケットカードの内容を両者尊重し、YMS-07ことプロトタイプグフに3号機における固定武装と外観の整理が行われて以降、その仕様を「YMS-07B」とし、便宜上それ以前の仕様を「YMS-07A」と定義したものとして紹介した。

グフ(ランバ・ラル専用機)

(型式番号:YMS-07B)

対MS戦用の固定武装を追加装備したYMS-07の3号機以降の機体を実戦投入したもの。この機体の仕様が本格量産型の基となった。ランバ・ラルが搭乗したのはこのタイプである。ラル機はチューンナップが施されており、のちの量産型よりも高い性能を誇ったという。ラル機の他には1機がMS-07Hの開発母体として流用された事が記録されている。ちなみにこの機体を受領したランバ・ラルのグフのパーソナルカラーは、その後一般量産機にも採用されている。

アニメーションに於いて形状記憶型のヒートサーベルを使用した唯一の機体。

初出はTVアニメ『機動戦士ガンダム』。デザインは大河原邦男


グフ(初期量産型)

(型式番号:MS-07A)

先行量産型。32機の量産が確認されている。5連装マシンガンやヒートロッド等の装備開発が間に合わず、武装はザクの物を流用している。実戦配備後に生産が追いついたマシンガンとヒートロッドを現地で追加装備した。

初出はTVアニメ『機動戦士ガンダム』。第22話「マ・クベ包囲網を破れ!」に登場したものの一部を指す。本放送当時は特にランバ・ラル機との区分は明確にされていなかったが、のちに『MSV』において本編中の描写(両腕がマニピュレータ化されており、ザクの装備を使用している)を肯定するかたちで、このような解釈が加えられた。デザインは大河原邦男

ドリームキャスト用ゲーム『機動戦士ガンダム外伝 コロニーの落ちた地で…』においてヴィッシュ・ドナヒューが搭乗したグフもこの機体であると推測される。

初期量産型の名称はSDガンダムシールおよび「SDクラブ」機体解説記事より。


グフ(後期生産型)

(型式番号:MS-07B)

YMS-07Bを本格的に量産したもの。ジャブロー攻略戦等各地の戦線に参加。

有名な「グフレディ」をパーソナルエンブレムとした東南アジア戦線の猛者サイラス・ロック中尉の他、パーソナルカラーで彩られたマルロ・ガイム中尉、トーマス・クルツ中尉らエースパイロットの愛機として名を馳せた。

初出はTVアニメ『機動戦士ガンダム』。デザインは大河原邦男

後期生産型の名称はSDガンダムシールおよび「SDクラブ」機体解説記事より。

マ・クベ専用機

機体各所に装飾が施されたカスタム機。なお、マ・クベ自身はこの機体に乗らなかったらしい。

初出はプラモデルシリーズ『MSV』。デザインは大河原邦男


グフカスタム

諸元
グフカスタム
GOUF CUSTOM
型式番号MS-07B3
所属ジオン公国軍
開発ジオニック社
生産形態量産機
全高18.7m
頭頂高18.2m
本体重量58.5t
全備重量77.6t
出力1,034kw
推力40,700kg
装甲材質超硬スチール合金
3連装35mmガトリング砲
ヒート・ロッド(アンカータイプ)
ヒート・サーベル
シールド
75mmガトリング砲
搭乗者ノリス・パッカード

初出は『機動戦士ガンダム第08MS小隊』(型式番号:MS-07B3)

型式番号から設定資料によってはB3グフと呼称する事もある。著名な搭乗者はノリス・パッカード。公式表記は「グフ・カスタム」と中黒が入る。

グフが配備が進むにつれ、白兵戦を重視したコンセプトのため攻撃範囲が狭い、また固定武装としたためデッドウェイトとなり汎用性に欠けるなど前線での運用に不便な点が浮上した。そこでグフを全面的に見直し、固定武装を廃して射撃武装を着脱式とし中近距離射撃能力を向上させた機体として再設計した機体がグフカスタムである。開発にはMS-07H-8グフフライトタイプと同じパーツを用いて行われたとも言われ、外観にも共通点が多く見られる。

グフでは左手に5連装75mmフィンガーバルカンを装備していたが、グフカスタムでは通常のマニピュレーターとし、前腕部に脱着可能な3連装35mmガトリング砲を装備した。また、小型化されたシールドには6銃身75mmガトリング砲を追加することで中距離の射撃能力を強化するとともに、近接戦時には排除することで白兵能力の低下を補った。更にグフの特徴的な装備である右腕のヒートロッドは材質を強化しワイヤー型とすることで小型化し射程距離を延長(最長17.5m)、それに伴い溶断機能を廃し放電のみとし、先端を鈎爪(アンカー)状とした(これらの変更点からヒートワイヤーとも呼ばれる)。シールド裏には格闘戦用のヒートサーベルが装備されている(これはランバ・ラル機に装備された形状記憶合金製のものではなく、最初から剣の形を成しているタイプ)。

劇中での活躍

劇中では、ジオン東南アジア方面軍アプサラス基地所属のノリス・パッカード大佐が搭乗し、ヒートワイヤーを用いてジェット・コア・ブースターと空中戦を演じた。その後ザンジバル級の病院船ケルゲレンの脱出を支援するため、本機を駆って再度出撃。陸戦型ガンダム量産型ガンタンク3機ずつを単機で相手にするという不利な戦いであったが、建造物とヒートワイヤーを最大限に利用した立体的な戦法で、瞬く間に量産型ガンタンク2機を撃破。陸戦型ガンダム2機を手玉に取り、一時はガンダムEz8を戦闘不能に陥らせるなど、圧倒的な強さを見せる。最終的には再起動したEz8のビームサーベルによる攻撃を無視し、残る1機のガンタンクを破壊。ケルゲレン脱出の障害となり得る長距離火器の全破壊に成功すると同時に、自らも胴部をビームサーベルでなぎ払われ、撃破された。その鬼神の如き活躍の描写は作品中でも際立っていた。

OVA機動戦士ガンダム MS IGLOO 2 重力戦線』第三巻にはオデッサに配備されていた機体が登場する。RTX-440小隊に対して突撃を敢行するが一斉射をの直撃を受けてしまい、ノリス機とは逆に高い白兵戦能力を生かす事無く撃破されてしまった。

備考

デザインは、カトキハジメファーストガンダムでの大河原邦男のMS-07Bグフに、MS-06FザクII→MS-06F2ザクIIに準ずるリファインを加えてデザインされた。のちにプラモデルのHGUCシリーズにおいてMS-07Bグフが発表された際は、このB3グフのデザイン画より逆算し、胸部や固定武装当の形状をより大河原版に差し戻したデザインが描き起こされた。なお、ワイヤー状のものとして再解釈がなされたヒートロッドだが、監督・飯田馬之介は従来のミミズ状のデザインを希望したものの、カトキはワイヤー状にリファインすることを主張して大いに揉めたという。結局カトキがコマ漫画風のプレゼンパネルまで用意して持論を通し、ワイヤー状のデザインとなった。


グフ(後期改修型)

(型式番号:MS-07C-1)

右腕のヒートロッドを廃し、両腕ともにマシンガン装備とした機体。

本来はTVアニメ『機動戦士ガンダム』第23話における描写ミスが元ネタであるが、のちに『MSV』において設定に組み込まれ肯定された。重装型(MS-07C-3)の前段階として位置づけられる。一部の資料では誤植なのか「後期回復型」と記しているものもある。

なお、07C系列は局地戦用と位置づけられており、投入される状況に応じ固定武装の仕様を各個変更したものとされる。後述するC-3、C-5のほかにC-2とC-4が設定上存在したという事になっているC-4に関しては文字設定上において脚部補助推進器に大幅な改修を施した物とされているが、C-2に関しては外観はおろか、どのような仕様であったのか等の詳細が不明である。


グフ(重装型)

諸元
グフ(重装型)
GOUF Heavy Arms Type
型式番号MS-07C-3
所属ジオン公国軍
開発ジオニック社
生産形態量産機
頭頂高17.7m
重量64.2t
装甲材質超硬スチール合金
75mm5連装フィンガーバルカン×2
バルカン砲

(型式番号:MS-07C-3)

C-1型をベースに火力と装甲を増強したタイプ。アンテナがブレードタイプからロッドタイプに変更されている。主にヨーロッパ戦線に投入された為、ヨーロッパ戦線仕様として紹介される事も多いが、ジャブロー侵攻の際にも2機が確認されたという情報も残っている。

なかでも大戦中期の南ヨーロッパ戦線において展開された第三次掃討作戦にて「ザクレディ」のマーキングで知られた第29機甲中隊(ブリッツ中隊)にも配備が確認されている。ただし、07C-3配備時に確認されたマーキングはザクを使用していた当時の「ザクレディ」ではなく、キツネをモチーフとした別のイラストを用いていた。もっとも「ザクレディ」のマーキング自体もブリッツ中隊全体で使用されていたものではなく、小隊規模のものという説もある。

初出はプラモデルシリーズ『MSV』。デザインは大河原邦男


グフ(試作実験機)

諸元
グフ(試作実験機)
GOUF Test Prototype
型式番号MS-07C-5
所属ジオン公国軍
生産形態試作機
頭頂高18.7m
重量57.4t
装甲材質超硬スチール合金
ヒートサーベル
シールド

(型式番号:MS-07C-5)

十字型モノアイスリット付きの頭部を持つ、ドムとグフの中間的な外見の試作機。実験データはドムに生かされている。

C-1〜4までの機体とは一線を画す異色の機体であり、テスト専門の機体として一機が建造されたのみであり、実戦にも参加していない。

初出は『講談社アニメグラフブックMOBLE SUIT GUNDAM』。デザインは大河原邦男。デザインされた当時はジオニック社やツィマッド社といったモビルスーツを開発した企業の設定が存在しなかったため、このような外見となった。


グフ(飛行試験型)

諸元
グフ(飛行試験型)
GOUF Flight Test Type
型式番号MS-07H
所属ジオン公国軍
開発ジオニック社
生産形態試作機
全高19.3m
頭頂高18.8m
本体重量63.9t
全備重量76.6t
出力1,034kw
推力50,875kg
センサー
有効半径
3600m
装甲材質超硬スチール合金
75mm5連装フィンガーバルカン×2
ジャイアント・バズ
搭乗者ビリー・ウォン・ダイク

(型式番号:MS-07H)

地球上におけるモビルスーツの航続距離の短さを克服するため、機体そのものに飛行能力を持たせるべく開発された試験機。飛行とはいっても、のちの可変モビルスーツなどのように航空機的な形態をとるわけではなく、脚部に強力な熱核ジェットエンジンを搭載し、大推力により飛翔させるという半ば強引ともいえる手段であった。

3機のYMS-07A、1機のYMS-07Bを開発母体にサイド3で改装が施され、キャリホルニアベースに移送後ビリー・ウォン・ダイク大尉の指揮の下でテストが繰り返された。

YMS-07AがH型1〜3号機、YMS-07Bが4号機として生まれ変わった。コクピットハッチの形状にはYMS-07A、B型それぞれの特徴がそのまま残っている。中でも3号機が比較的好調を示した。テスト開始後まもなく、燃料増加のため背部にドロップタンクを取り付けた07H-2型に改修、その後も数回の改良と試行錯誤が繰り返されている。

固定武装として、07C-1型同様に両腕共にマシンガン装備となっているが、あくまで試験機であるため、実戦を想定した武装ではなく、C型系列の展開を見越した試験的な採用と考えられる。

しかし、総重量80トンを越す自重が災いした事と、加えて構造の複雑な新型エンジンのコントロール系統の動作不調、搭載燃料の限界により航続距離が短いなど問題点が多い。結局はドダイGA爆撃機を利用したドダイYSプランに譲る事となったが、後に飛行を諦め熱核ジェットホバーによる滑走を行うことで実用化され、結果的にドムの開発へと繋がる事となる。

一年戦争後は地球連邦軍に接収された。4機がジャブロー防衛の任に就いている姿が目撃されている。コクピットはリニアシート方式に改められており、ジャイアント・バズで武装している。ジャブロー基地上の湿地帯やアマゾン川の水上をホバリングで軽快に滑走するなど、およそドム的な運用がなされていた。

初出はプラモデルシリーズ『MSV』。デザインは大河原邦男。プラモデル化もされた一般的に知られるタイプは、コクピット周辺の形状からYMS-07Aを母体とした個体であると判別できる。


グフ(飛行型)

諸元
グフ(飛行型)
型式番号MS-07H-4
所属ジオン公国軍
開発ジオニック社
生産形態試作機
頭頂高18.8m
重量65.2t
装甲材質超硬スチール合金
75mm5連装フィンガーバルカン×2
搭乗者フランク・ベルナール

(型式番号:MS-07H-4)

YMS-07Bをベースに建造されたH型の4号機に通算四度目の改装を施した機体。脚部エンジンを換装、フィンの大型化が図られた。肩アーマーは直線的デザインとなり肉弾戦用スパイクが廃されていた。一部の資料では「空戦型」とも記されている。

フランク・ベルナール少尉がパイロットを務め飛行試験にて優秀な成績を収めたが、エンジンの調整は難航し、最終テスト中に空中爆発を起こす。

初出はプラモデルシリーズ『MSV』。デザインは大河原邦男


グフフライトタイプ

諸元
グフフライトタイプ
GOUF Flight Type
型式番号MS-07H8
所属ジオン公国軍
開発ジオニック社
生産形態量産機
全高18.7m
頭頂高18.2m
本体重量61.5t
全備重量77.6t
出力1,130kw
推力108,400kg
センサー
有効半径
3,600m
装甲材質超硬スチール合金
3連装35mmガトリング砲
シールド
75mmガトリング砲

(型式番号:MS-07H8)

B3型ベースの機体で、H型シリーズの完成型として少数が量産された。2機がアプサラスIIIの護衛として登場している。H4型と同じく肩アーマーのスパイクがなく、武器はグフカスタムに準じガトリング砲付きシールドが主に使用された。

初出はOVA機動戦士ガンダム 第08MS小隊』。デザインはカトキハジメ

備考

実質的に07H-4型のリファインデザインであり、設定上もYMS-07A型ベースではなく07B3型ベースでありながら、コクピットまわりに本来あるべきではないYMS-07A型の特徴が残っている。その理由については複数の解釈がある(空戦型として運用する場合、YMS-07A方式のコクピットの方が何らかの理由で都合が良かった等)が、実情は07B3型との差別化を強調したいというアニメスタッフ側の意向が反映されたものだという。従来の設定との辻褄が合わない事と、模型化した際にパーツの流用への不便さを理由にカトキは反対したが、バンダイ側の模型設計スタッフによる「模型化に支障なし」との声もあり、結局アニメスタッフの意向を優先させる結果となった(角川書店刊『カトキハジメ デザインズ&プロダクツ アプルーブドガンダム』より)。


高機動型試作機

諸元
高機動型試作機
High Mobility Test Type
型式番号YMS-08A
所属ジオン公国軍
生産形態試作機
全高17.7m
重量55.7t
ザクマシンガン
ヒートホーク
シールド

(型式番号:YMS-08A)

陸戦型ザクの後継機として開発された試作機。競合機であるYMS-07グフが陸戦型MSとしての完成度を主眼に開発されたのとは対象的に、重力下での機動性を主眼に開発された。機動性はYMS-07を上回っていたが、推進系の欠陥が発覚し不採用となり開発計画はグフに統合された。厳密に言えばグフのバリエーションではないが、開発データなどがグフに反映されていると設定されているため、グフの原型機の1つという位置付けとなっている。

当初は製造元が設定されていなかったが、後にツィマッド社製と設定された。コンセプト的には「ヅダ」の陸戦バージョンというべきMSであり、不採用の経緯もヅダと同じ哲を踏んだ形となっている。しかしながら「高機動陸戦MS」というコンセプトは最終的に名機ドムに昇華されることになる。

生産数は5機といわれているが詳細は不明。後に改良された機体がゲリラ討伐戦に投入されたといわれている。MS-08TXがそれに相当するのではないかという説があるが関連は不明。

初出は『講談社アニメグラフブックMOBLE SUIT GUNDAM』。後に『MSV』に取り入れられ公式化された。『機動戦士Ζガンダム』にも登場が予定されていたが、登場は見送られ、替わりにアクト・ザクが登場している。

SDガンダム GGENERATIONシリーズでは宇宙用MSとなっている。


RFグフ

諸元
RFグフ
RF GOUF
型式番号OMS-07RF
所属オールズモビル
生産形態量産機
全高18.7m
本体重量26.3t
全備重量65.2t
出力2,750kw
推力64,800kg
5連装機関砲
ヒートロッド
ビームランチャー他

(型式番号:OMS-07RF)

オールズモビルが開発した、宇宙世紀0120年代の技術でリファインされたグフ。 原型機と異なり宇宙空間でも戦闘可能になっている。またヒートロッドの先端にビームを発生させる事も出来るとされている。 小型機であるガンダムF90に比べると大型だった。

機動戦士ガンダムF91 フォーミュラー戦記0122』に登場。